2023.05.24
事例紹介
ラメール株式会社|
NetSuiteで属人化した業務の標準化・効率化を推進
属人化した業務の標準化・効率化を推進
Oracle NetSuiteを導入し本格的な基幹システムを構築
会社概要
【会社名】ラメール株式会社
【本社】〒143-0006 東京都大田区平和島6-1-1
【設立】1971年11月
【資本金】1,000万円
【従業員数】15名
【代表】稲垣 慶三
【WEBサイト】https://www.lamerco.com/
(2023年5月時点)
事業概要
1971年の創業以来、TIG溶接トーチ(タングステンの電極棒から高温で強い光の気体放電現象「アーク」を発生させて金属溶接を行う機器)をはじめ、溶接面の安全保護具や溶接用治具など溶接関連機器の輸入および自社生産事業を展開する企業。主力製品のTIGトーチセットは顧客ニーズに合わせた完全受注生産で対応している。
溶接関連機器の製造・販売・輸出入事業を展開するラメールは、クラウドERP 「Oracle NetSuite」 による新しい基幹業務システムを構築し、業務プロセスの標準化と大幅な業務効率化を実現した。
導入前の課題
- 販売管理システムと倉庫管理システムの連携ができず、手作業でのデータ入力が発生
- 従来の販売管理システムは外貨対応が不十分だったため、仕入・売上の管理を個別にExcelで行う必要があった
導入後の効果
- 業務プロセスの標準化により、10~15%程度の業務効率化を実現
- 発注から出荷まで一元的に管理できるようになり、手作業でのピッキング作業から解放
販売管理と倉庫管理の連携が難しく
業務の属人化も進む
導入の背景・課題
ラメールは、米国MillerElectric社「ウェルドクラフト」ブランドのTIG溶接トーチをベースに、顧客ニーズに合わせてさまざまなコンバージョンを行い販売する溶接関連機器専門メーカー。パワーケーブルや先端パーツのカスタマイズからトーチの開発まで、顧客の細かい要望に沿って耐久性・パフォーマンスに優れたTIG溶接トーチを製作している。
そんなラメールでは、長年にわたってオンプレミスの基幹業務システムを運用しており、事業規模の拡大に伴って取り扱う製品の品目数が増え、従来の基幹業務システムだけでは対応が難しくなっていた。
「当社では常時3,000種類以上のアイテムを在庫し、品目数1万5,000点以上の製品をお客様に短納期で出荷できる体制を取っております。かつては販売管理システムを中心とした基幹業務システムだけで運用していましたが、製品の在庫管理を効率化するために倉庫管理システムも追加導入しました。ところが事業規模が拡大するにつれ、既存の基幹業務システムだけでは対応できない業務も増えていきました。そうした基幹業務システム外の業務はExcelやAccessを使って対応していたのですが、それらの業務の多くは属人化していたために業務改善がなかなか進まなかったのです」(稲垣氏)
なかでも大きな課題だったのが、販売管理システムと倉庫管理システムとの連携だった。システム間の連携はAccessを使って手動で行われており、とくに仕入・生産・出荷情報の連携は販売管理システムから倉庫管理システムへの一方向のみしかできていなかった。さらに海外製品を取り扱っているのにも関わらず、従来の販売管理システムは外貨対応が不十分であり、外貨による仕入・売上の管理はExcelを使わざるを得ない状況だったという。
カスタマイズの自由度が選定のポイント
フォーブスのトータルサポートも評価
選定のポイント
これらの課題を解決するために、ラメールでは従来の販売管理システムに代えてERPの導入を検討。基幹業務システム外で行われている業務も含めてERPに集約し、属人化している業務を可視化して業務改善・効率化を実現しようと考えた。
ERPの導入を検討するにあたっては「受注生産と在庫生産の両方に対応」「生産計画・仕掛品管理・MRP(資材所要量計画)が可能」「倉庫管理システムと自動連携」「外貨に対応した原価計算・管理」「営業支援(SFA)ツールとしても活用可能」などが選定要件になった。そこで候補となったのがOracleNetSuite(以下、NetSuite)だった。
「最終候補に挙がった他社ERPは日本企業にマッチする機能やインターフェイスを備えていたものの、サーバーの運用管理が必要になるなど難がありました。それに対してNetSuiteであれば、サーバーを運用管理する必要はありませんし、カスタマイズの自由度も申し分ありませんでした」(稲垣氏)
そうしたなか、日本オラクルから紹介されたのがフォーブスだった。
「フォーブスには従来の基幹業務システムをそのままERPに移行するのではなく、新しいシステム基盤に合わせた業務プロセスの刷新・標準化を含めて提案を依頼しました。フォーブスから、NetSuite導入前のコンサルティングから導入後の運用管理まで手厚く支援してくれるという約束が得られたこともあり、NetSuiteを正式に契約することにしました」(稲垣氏)
密な情報共有により予想外のトラブルにも対応
業務標準化・効率化の効果を実感
導入効果
ラメールがNetSuiteを契約したのは、2021年12月のこと。翌年1月から要件定義とシステム設計を開始した。
「販売管理システムとともに倉庫管理システムも一新することにし、新しい倉庫管理システムを導入しました。両方のシステムを連携させながら同時に移行を進める必要があったこともあり、実際は、要件定義~マスタデータ作成~UAT~現場トレーニングで1年間、従来システムと並行して実データ入力を1ヶ月行ってから本番環境に移行しました」(稲垣氏)
移行を進めるなか、NetSuiteと倉庫管理システムとのAPI連携が上手くいかず、最終的にAPI連携からCSV連携へと切り替えるといった技術的なトラブルに遭遇したこともあってスケジュールが押したところもあったという。しかし、そうした困難を乗り越えながら、2023年2月にはNetSuiteの本番稼働を迎えた。
「本番稼働を迎えるまでの間、当社とフォーブスは週次・月次ミーティングで進捗を確認しながらプロジェクトを進めました。何かあればチャットツールを通じてすぐに問い合わせできる支援体制も用意していただいたことで、スケジュールが大幅に遅延することなくNetSuiteへ移行することができました」(稲垣氏)
本番稼働を迎えてからまだ日は浅いものの、すでに効果を実感し始めている。
「定性的な効果として挙げられるのは、業務を標準化できたことです。長年使い続けてきた業務プロセスを約1年という時間をかけて一から見直したことで、会社全体として業務の標準化が実現されたと考えています。定量的な効果は計測していませんが、標準化したことで業務を10~15%程度は効率化できたと実感しています。とくに受注から出荷まで一元的に管理できるようになったことで、出荷指示が自動になったこと、納品書や送り状を荷物と突き合わせる作業がなくなったこと、出荷実績の自動連携により顧客への自動メール通知が実現したこと、などに効果を感じています」(稲垣氏)
MRP実装や需要予測
SFA機能の NetSuite移行を検討
今後の展開
ラメールでは現在、NetSuiteの活用の幅をさらに広げるための取り組みを進めているという。
「2月に本番稼働を迎えたシステムは、まだ発展途上の段階にあります。MRPについては過去データに基づいた計算が必要になるため、データが蓄積される夏以降に向けて導入を進め、将来的には仕掛品も含めて需要予測を行いながら適切な生産計画を立てていきたいと考えています。また、現在利用しているSFAシステムの契約終了までに、商談管理などのSFA機能をNetSuiteへ移行することも計画しています。さらに、予実管理機能など経営数値管理への活用を推進するほか、BtoB向けECサイトとの連携も視野に入れています」(稲垣氏)
フォーブスはこれからもNetSuiteの保守サポートを通じ、ラメールが利用する基幹業務システムの運用管理を強力に支援していきたいと考えている。